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2007年 07月 29日
私家版本郷キャンパス案内
駒場キャンパスで日の暮れる頃合いに食堂・生協の辺りを通ったが,引きのある旧食堂辺りからオレンジ系の照明が点々と連なるさまを眺めると,かなり綺麗だった.低く抑えられたスカイラインの水平性を強調するかのようなデザイン,周囲を芝生で囲まれた親しみやすさは,旧寮時代を知っている私(この大学にずいぶん長く居座ってしまった)にも好ましい.
そうした親しみやすさを本郷キャンパスに求めるのはお門違いらしく,本郷で気に入った場所はいくつか挙げられるが,その理由は結局「天井が高い」ということでしかない.築年の新旧はバラバラだし,光がどのくらい入るかということにもあまり左右されないらしい.例えば,工学部1号館15号教室と建築学科図書館はどちらも拡張・保全工事のときに新しくできて,前者の古い1号館と新しい増築部との融合を図るカラーリングや,後者のガラスカーテンによる本郷随一の明るさが魅力.また建築学科の個人的な作業には元中庭の製図室が充てられていて,テントや寝袋が持ち込まれ雑然とした様子には,法文1・2号館中庭の放置された器具類が雑然と積み重なりその場自体が放置されている様子に比べると,活力を感じる.法文2号館の地下食堂は味や講義室からの近さなどで人気らしいが,それよりは学生紛争後に講堂地下にできた中央食堂の方が(逆説的ながら)圧迫感を感じずに済むし,調度も少しは安っぽさを免れている.総合図書館の玄関から大階段を抜けて3階にかけての展開は,図書館が蓄積した知識へのアクセスとして,大時代的だが「壮麗なる知の殿堂」という比喩を地で行く装飾と光量操作だろう(だから2階のトイレの辺りをあまり明るく照明するのは元の発想とは異なる処置だ).工学部2号館の拡張・保全工事の出来栄えには議論があるところだが,そのお蔭でできた,SUBWAYなどが入ったロビー空間は素直に気持ちが良い.最後に,東大病院の外来棟には木々とその影の写真を元に,元々ランダムだった茶色系のタイルを組み換えて作った壁画がある.建築学科の友人がコンペで取ったものだが,御殿下グラウンドの西側(山上会館側)からグラウンドの向こうを眺めていると気が付くかも知れない.

by d_ama | 2007-07-29 04:53 | cities/architecture

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