2009年 05月 10日
研究のあるレヴェルまでは,その資料を見つけてアクセスできただけで評価できる,という部分がある. ものすごく低いレヴェルの話だが,(最近賑わっている話題で思い出したのだけど)北方領土という問題があって,日本が返還を求めている根拠がこうだ(当時のソ連側の根拠までは調べなかったと思う)という話を小学校の課題に対して選んで,画用紙一枚にまとめた記憶がある.あのときは北方4島の旧町村名が書かれている地図を取り出してきて,現代でも町村名が書かれていることに,(後から考えると)日本人が確実に住んでいたんだという感触を得ていたのだと思う.その地図を画用紙一杯に書いて,残りを文字で埋めれば良かった.今もgoogle mapsで択捉島のディテールを見ることはできず,ただロシア語と日本語の島名が書かれているだけに過ぎない.樺太はロシア語しか書かれていないが,北方四島に関しては係争中なので触れない,というところだろう.wikipediaを考慮しても,沙那とか古釜布とかの地名の位置を知るには今も印刷物が必要だ. だいぶレヴェルを上げていくけど,国学院の去年の成績評価では,ソースの明示なきウェブからの引用は「パクリ」と見なしてかなり厳しく採点した(平たく言えば落とした)が,書物からの明示なき引用は論文としての手続きの不足として,減点は限定的だった.その書物にアクセスして写すという手間を掛けたことは一応認めたということになるだろう.その書物が果たしてこのレポートの中で適切な参照先だったかは,別の項目で評価し,減点したり加点したりした.中には,この書物とこの書物とこの書物を参照してこういうことが書きたかった,というプロスペクト的な?記述に加点した結果,単位を得る点数にぎりぎり達したという人もいた.まあ,その構想に投資したい,というつもりで点数を上げたのだが,一旦単位を与えてしまうとその投資をどこで回収するのか,という問題が悩ましい.教育の主体は教師側ではなく学生側なのかもしれない. いやいや,問題はこれである. http://www.yumani.co.jp/np/isbn/9784843330609 僕の研究の中に,これだけの雑誌を通覧した,という「努力賞」的な部分があれば,そのなかからこの叢書に収録されたような重要な論考を抽出するという作業まではこの叢書でなされてしまったわけだ(もちろん,この叢書以外の論考を参照することもあるのだが).まあ,あまり僕が揺らぐ必要もないとは思うのだが(もし「近代日本建築が美学問題である」というテーゼを立てようと思うなら,論考の抽出以上に,そこからどう議論を重ねるかが問題になるからだ),しかし最終的にうまくいかなければ,この叢書に遅れ,しかもこの叢書に数点加えただけの論考群を文脈づけて紹介しているだけ,に過ぎなくなってしまう.退路を断たれた気分.
by d_ama
| 2009-05-10 16:50
| books / studies
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