2007年 02月 24日
札幌に一泊旅行というか,体調が急変したという祖父の見舞いに行った.何日向こうにいなければならないのか判らないため,荷物はだいぶ多かったが,ある荷物を札幌の祖父母の家に置いてきたので,帰りに新千歳空港でだいぶ買い込んでしまった.観光らしいことは一切していないので,これくらいはいいかな. 祖父の入院先は,札幌の中でもだいぶ郊外の,峡谷とも呼べる場所にある.簾舞(みすまい)なんて地名もこの病院があるから初めて覚えたようなもの.国立病院なので,ご多分に漏れず札幌市内の別の国立病院と統合するという構想があるが,計画は多少遅れぎみ.統合先は祖父母の家に近いところにあるのだから,もっと早く統合していれば祖母も楽だったろう.祖父母の家がある西区から見ると,今の病院は藻岩山を回り込まねばならないため,札幌の都心部を通過するか藻岩山と別の山との間を縫う道を通るかの選択.いかに暖冬とは言え(ほとんど雪らしい雪を踏みしめないまま二日間を過ごした),山間部のドライヴは多少怖いので,都心部を選択.ワールドカップスキーのために,また月末の週末のために,都心部は多少混雑しているらしい.迂回路を選んだり,僕が真駒内から札幌駅に出るのには地下鉄を選んだり.都心部のホテルと羊が丘辺りは色々忙しそうだ. 木曜日に面会したときより金曜日に面会したときの方が,眼がくっきりしていた.僕が帰ったらまた体調が落ち込んだ,ということにならなければ良いのだが.きっと今の体重は60kgくらいだろう(僕が着ていった祖父のお下がりのカシミアのコートは,サイズが3Lくらいあるのだが──胴回りを絞ればちゃんと着られるはず).かなり痩せ細っているし,点滴ばかりで食べ物も口にしていない様子.それでも急変する前にはコーヒーを飲んだといっているから,想像するようなひどい状態で苦しみ続けている,というわけではない. こわい,と祖父が繰り返している.医者や設備や病院そのものが怖いのかな,とずっと思っていたが,見舞いを終えて初めて知らされたのは,北海道弁で「こわい」は「疲れた」を意味するということ.ずっと寝ているから背中が疲れたらしい. 学会誌のゲラのコピーを置いてきた.また読めるようになると良いのだが,まだ彼の意識は断片的なことを反復する程度しかできない.かいがいしく世話をしている祖母も,多少老人特有の症状が出ている様子で,結局何事かがあれば母や大叔父がいろいろ決めることになるだろう. 87と81くらいの夫婦のはずなのだが,互いに相手がいないと寂しいと嘆き合っているのはすごいと思う.この夫婦からなぜこの母親(「子供に結婚はお勧めしません」と言う)が生まれてきたのか,不思議なくらいだ.そういえば叔母だって,独身だ. 国立札幌南病院は典型的な転地療養施設・隔離施設といった平面で,各棟を屋根と壁と窓で覆われた通路が結んでいる.各病棟ごとにナースセンタが置かれているのは,伝染病を扱う場合仕方ないだろうが,現代の設計ならおそらく感染区域をフロアやドアなどで区切るだろう.山田の東京厚生年金病院の平面は,確かに病院として使いやすかったのかも知れない(ところが彼は同じ平面を高井戸の年金局などオフィスにも使っているが).結核病棟への出入りにはマスクさえすれば大丈夫だというのは,普通経口感染だかららしい.空気が乾燥していて(湿度は30-40%)祖父も水を求めるが,一日の摂取量は決まっている.見舞いの方も,水がないと咽喉がからからになりそう.
by d_ama
| 2007-02-24 23:38
| cities/architecture
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