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2006年 11月 28日
久しぶりのICC
コネクティング・ワールド ─創造的コミュニケーションに向けて─
15/09/06 - 26/11/06 ICC

かつてこういうこともあったのですが,それ以来初めて初台に行きました.同年代の女性が,いろいろな目に遭っていることはよく認識しているつもりですが,男性である僕がこの手の目に遭うとは全く想定していなかったので,今から考えるとなかなかの慌てふためきっぷりを曝していましたね.その後警察からは,自分の自転車が盗難車であると疑われて止められたことがあったきりです.
そういえばちゃんと僕の自転車であることが証明されてからも,彼らって謝らないんですね.あたかも自分が他人を疑ってその自転車を止め他人の時間を無闇に奪ったことが正当であるかのように敬礼なんぞするのですが,敬礼だけなんてその組織内では通用しても外部に通用する礼儀ではないって誰か気付いて下さい.──話題がずれました.
とりあえずICCに行く.けっこうメディアアートに近いところにいる,という自覚の割には,実は今年度初めて.

特別展《コネクティング・ワールド》では《MaSS(Market as Speed Spectra)》という,Google株の取引データのタイミングと注文量とを画面上の金の延べ棒や音響,フラッシュ光などに変換してみせるという作品,ウェイン・クレメンツの《un_wiki》という,Wikipediaから削除されたフレーズがオンタイムで表示される作品,UBERMORGEN.COM feat.アレッサンドロ・ルドヴィーコ vs.パオロ・キリオというユニットの《GWEI – Google Will Eat Itself》というGoogle AdSenseからの自サイトの収益でGoogle株を買うプロジェクトが面白かった.最新の作品で面白いと感じたのは,ウェブ上の情報のやりとりをhackしてシンプルに呈示する作品.たとえば《cyclon.soc》は定められた形状の「等圧線」上にニューズグループでやり取りされるテキストデータを流すものだが,その「等圧線」の形状に恣意性を感じてしまった(もしかしたら形状を決める何か関数があったのかも知れないが).また《OBJECT B》のようなゲームを通じたコミュニケーションに僕自身が慣れていないことがあるかも知れない.
以上の最新の作品とは別に,ペーター・フィッシュリ&デヴィッド・ヴァイスによる《事の次第》は1987年のヴィデオ作品だが,佐藤雅彦氏の《ピタゴラ装置》を長尺にして(30分!),火だの溶剤だのナイフを飛ばすだの「よいこはまねをしてはいけない」プロセスを用いてよいことにして,さらに無目的にするとこんな感じ.見ていて全く飽きないし,中にはこんな頼りない反応や動作を利用してよく先に進んだなあ,と思うところもある(1箇所だけ,振り子の動きが往復運動から円環運動にずれるところがあって,その仕組みが分からなくて人の介入が感じられた.もしかしたら強力な磁石か何かを見落としたかも知れない).
また,デニス・オッペンハイムの「トランスファー・ドローイング」シリーズは一種の伝言ゲーム.AがBの背中に描くドローイングをBがスクリーンやCの背中に描く,という仕組みをいろいろに組み合わせた様子を撮影した.これに至っては1971-2年.この手のシンプルな発想をシンプルに見せるのは,2006年の今にあっては難しいのかもしれない.

常設展は無料で開放されており,遊ぶ場所が見当たらない人には面白い場所となっている.「アート&テクノロジー」ゾーンの《無分別な鏡》は藤幡正樹+川嶋岳史コンビによる制作.ICCのコレクションになっているからだろうか,全体的に見ても面白い作品が多い.「無響室」をこれほど気軽に体験できるのも僕はここしか知らない.「研究開発」コーナーでは新たな作品を体験することができる.大垣でさかいれいしうさんが言っていたのはこれ(《GAINER》)だったのか,と納得.《KODAMA》も9月まで展示されていましたね.
ただ,かなりハイテクのオモチャとこうした作品群との区別をどうつければいいのか,僕はまだ明確な認識を得てはいない.その区別を「アート」という言葉で行おうとすると,混乱しそうな印象.「アートワールド」という言葉ならば何となく落ち着いてしまうのだが,はたしてそれでよいのだろうか,納得しかねるところはどこなのだろうか.

by d_ama | 2006-11-28 02:21 | events / art

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