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2006年 11月 19日
出会いと別れ
最後に頼るのは,いつも『美学辞典』ではなく『作品の哲学』である.卒論もそうだった.修論ではそうではなかったが,修論のダイジェスト版としての今回の投稿論文でも『作品の哲学』を読んで論述上の不安を解消した(直接言及はしないから註には出てこない).この本がなければ,自分が美学芸術学という学科に所属することにすら不安を覚えていただろう(実際に,学部時代の僕はこの本に出会うまで,どこか余所者気分だった;今でも余所者気分なのでは,と自分を疑うこともあるがそれは別の話).この本との出会いにも別れがついて来るのだろうか.もしそうだとしたら,それは僕か著者と僕の双方かあるいは学界かの進歩を示すのだろうし,喜ばしいことなのだろう(すでに20年前の著書と化しているが,僕は未だに追いついていない).著者はもう闘うべきフィールドが僕のそれとは異なっている,というのが僕の見解である(もちろんお会いすればちゃんとお話するのだが).その意味ではすでに多少なりとも「別れ」ているのかも知れない.しかし著者との「別れ」は著書との「別れ」を意味しない.それが作品の「作品」たる所以である.
同じ対象との出会いは,一回とは限らない.また複数回あるだろう出会いは,必ずしも間に別れを差し挟まねばならないわけでもない.何度も,出会い直す可能性がある.But its opportunity is out of our control, I guess.

by d_ama | 2006-11-19 05:21 | books / studies

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