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2006年 10月 10日
大垣
「心のテーマパーク」養老天命反転地は月曜祝日の次の火曜日だったので休業日.残念.そこで朝から大垣に向かうことにしたが,集合時刻の直前に電話が掛かってきてそれで目覚めた.どうやら二度寝していたらしい.ホテルの朝食をパスしてしまったことを悔やみつつ,恐縮しながら駅へ.幸い許され(?),大垣ビエンナーレとIAMASを案内していただく.
まずはソフトピアジャパンという黒川紀章設計のプラグみたいな形状の建物へ.正面入口にある,ボールが上からレールに沿って落ちてくる間にいろいろなアクションを示すオモチャが置いてある.もしかしてcyclopsの本間さんが好きだといっていたのはこれのことかな.4階ホール(たぶん6階まで吹き抜けている)にある彫刻は,物理的にはこの空間に確かに収まっているのだが,しかしこの空間に対して大きすぎる.物理的に入るからといって下手に彫刻を入れてしまっては空間が窮屈になる,ということに誰も気付かなかったのだろうか.3階の2部屋に作品が集中していた.金属板に手を触れ,その温度変化をサーモグラフィ経由で画像解析し,それに従って音が鳴る仕組みはいかにもメディア・アートらしい.平面図がV字型のヴァーチャル・シーソーはもうちょっとアイデアを付け加えた方がよさそう.ガラス瓶に音源を近づけて幽かに音の響きが変わることに気付かせる仕組みは,並んでいるガラス容器が平凡なものばかりだったかも(1個くらいバカリとかのグラスがあると随分音が違うはずなのだが).手で包んでやると一瞬だけ蛍のように光る照明器具.iamas TVはさかいさん出演作見たかったなあ(見せてくれなかった;笑).見る者のまばたきに従って映像が明滅する作品は,僕の顔の位置が悪いのかあまりうまく作動せず.自分がまばたきしている間に世界はどうなっているのだろう──この問いに,素直に「映像が消えて音だけになる」という応じ方をしている点は,少し物足りない.Animation Harvestは全作品を見る時間がなく割愛.
小さな町と聞かされていたが以外に人がいて昼食時のレストランはにぎわっている.ソフトピアのレストランで味噌煮込みうどんを食し,タクシーでiamasへ.妹島和世の半地下の工房を見る.いろいろ面白いことをしていた時代があったのだが,そういう時期が過ぎて多少寂れた印象.その印象を妹島氏の建築が余計引き立てている.屋根のアスファルト防水は収縮していて,そのすき間から水が入っているらしく,半地下の床の各所に(天井に電気関係の穴が空けられている箇所ごとに)バケツが置いてあった.金属製の部材も錆びている.ビエンナーレで人が出払っているから,余計に寂しい印象.
IAMASでは早川貴泰氏のアニメを見たが,われわれのアニメの見方はすごく距離を置いていて,どこで何が起こっているのか一望に把握しているらしい.早川氏の奨めどおり近づいて見ていると,線や領域の戯れが脳の解析要領を上回る情報量で迫ってくる.「美的に」鑑賞するなら,コンピュータの画面程度の大きさの方が,たぶん落ち着いて見られる.けれど早川氏は「落ち着いて」見る事など目標にしてはないのではないだろうか? 内容は,animation>anima>精霊崇拝>「八百万の神々」という連想による「可畏キモノ」というタイトルに導かれた,線と領域と音の戯れ.複雑な動きをしているように見えるが,たぶん単純な要素の重ね合わせ.「作品説明書」を見たら,素材は手描き,色彩は抽象絵画を自分で作成し,素材の型にその色彩を切り抜いたらしい.
大垣駅南側の商店街でおねだりロボット,大垣城で画面上の3足ロボットを3ユーザで協調して動かすプログラムと羊プロジェクトのヴィデオ,望遠鏡の中に仕込んだモニターで表示するSpace Dust.稲荷神社の本殿でKODAMA.
大垣から名古屋へ行き,そのまま新幹線に飛び乗り,駅弁を食する.エビフリャー.ひつまぶしは今度の機会に.

by d_ama | 2006-10-10 23:23 | cities/architecture

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